相続ノート NOTE

遺言と異なる遺産分割「望まない遺言…」

2016.04.21更新

父は長年認知症を患い、年末から急に体調崩して入院していましたが、残念ながら年明けに亡くなりました。

もともと、私の両親は兄と実家で暮らしており、土地・建物は父名義でした。

父は、20年以上前、将来兄の家族と同居するため、二世帯住宅にしました。

しかし、兄の結婚相手の希望により同居の夢が叶わず、結局弟の私が両親と同居し、両親の面倒をみることになりました。

それで家族全員が納得していました。

 

土地・建物を私名義にすることでまとまった矢先、遺品を整理していたら、次のような内容の遺言が出てきました。

 

「土地・建物を兄に相続させる」

 

どうやら父は20年以上前に遺言を作成していたようです・・・・

 

だれも望んでいないにもかかわらず、遺言のとおりにしなければならないのでしょうか??

   
このような遺言がある場合、基本的には兄が遺言のとおり土地・建物を相続することになります。

 

もっとも・・・

 

相続人全員の同意があるなど一定の条件のもとでは、遺言と異なる内容の遺産分割協議をすることが認められています。

 

遺言と異なる内容の遺産分割協議ができるかどうか、まずは専門家にご相談ください。

投稿者: 岸町法律事務所

再度の遺産分割「こんな遺産は聞いていない…」

2016.04.19更新

父の葬儀の際に、久々に会った弟が「親父の財産はおれにも権利がある。それなりの金額をもらえればこちらも事を荒げるつもりはない」と言ってきました。

知人に相談したところ、弟の言い分にも一応理由があることが分かり、母と私と弟で遺産をどのように分けるか話合い、弟にそれなりの金額を渡すことで話がつきました。

弟にはお金だけ渡して、自宅と預貯金については母と私の二人で分ける旨の遺産分割協議書を作成しました。

 

ところが、葬儀も終わってしばらく経ったころ、固定資産税の納税通知書が届きました。

その固定資産税の納税通知書をみると、自宅以外に父名義の土地があることが新たに分かりました。

今回のように遺産分割協議書に含まれていなかった遺産が後日でてきた場合、どうしたらいいのでしょうか??

 

遺産分割協議書では、基本的に、遺産を「誰が」「何を」「どのような割合で」取得するかを特定する必要があります。

遺産分割協議書に含まれていない遺産が後日でてきた場合、その遺産についてはどう相続するのか決まっていないことになります。

したがって・・・・

 

再度その遺産について分割協議をしなければなりません。

 

特に相続人間で「争う相続」になっている場合、一度の手続きですべて解決しなければ長期化してしまいます。

遺産分割協議に失敗しないためには、事前に専門家にご相談することをお勧めします。

投稿者: 岸町法律事務所

遺留分「こんな遺言が見つかったら…」

2016.04.14更新

 あなたのお父様が亡くなったとします。

 お母様とあなたが悲しみに暮れるなか、四十九日が終わり、ようやくひと段落した場面を想像してください。

 みんなでお父様の遺品を整理していると、見慣れない書類がでてきました。

 書類には「遺言公正証書」と書かれています。内容をみると、そこには驚くべきことが書かれていました・・・
  

「一切の財産をA子さんに相続させる。」

 

 このような場合、お母様とあなたは、亡きお父様の遺産を全くもらうことができないのでしょうか?

 

 安心してください。

 遺言の内容にかかわらず、法律上、遺産に対して最低限の権利が認められています。

 これを「遺留分」といいます。

 

 それでは、お母様とあなたがA子さんに対してどのような方法で遺留分を訴えていけばいいのでしょうか?

 A子さんに対して口頭でも請求できますが、実務上は内容証明郵便で請求することが多いです。

 

 ただし、1年間何もしないでいると請求できなくなってしまうこともあります。

 遺言を発見されたら、お早めにご相談ください。

 

遺留分一般についてはこちら

遺留分侵害額の算定方法についてはこちら

投稿者: 岸町法律事務所

相続スケジュール「相続がおきたら…」

2016.04.11更新

1. はじめに

 まず、相続がおきるということは、自分にとって大切な人が亡くなることを意味します。

 葬儀の準備や後片付けに追われながら、7日以内に市区町村に死亡届を提出します。

 そして、故人の遺品を整理しているうちに、あっという間に四十九日を迎えます。

 自分にとって大切な人が亡くなるということは、精神的・肉体的にとても辛い出来事です。

 しかし、相続に関する重要な手続きの期限は刻一刻と近づいています。

 
2. 3ヶ月以内にやるべきこと

 亡くなった故人(「被相続人」と呼びます)が多額の借金を抱えていたらどうなるでしょうか。

 相続は、プラスの財産だけでなく借金などのマイナスの財産も相続人に引き継がれます。

 何もしなければ、あなたが被相続人の借金を背負うことになります。

 あなたが相続したくないと思ったら、3ヶ月以内に家庭裁判所で相続放棄をする必要があります。

 

3. 4ヶ月以内にやるべきこと

 被相続人の所得税の申告・納付を相続人の連署で行う必要があります。

 

4. 10か月以内にやるべきこと

 相続税の申告・納付の期限です。

 相続税の申告・納付をしないと、延滞税や無申告加算税などが課されます。

 相続税の申告・納付をスムーズに行うためには、遺言や遺産分割協議書に基づき相続財産の名義変更手続きや登記を10ヶ月以内に行う必要があります。

投稿者: 岸町法律事務所